概説 脱毛をおさえるお薬です。男性型脱毛症に用います。 【働き】 男性型脱毛症は、大人になってから、額の生え際や頭頂部が薄くなる男性特有の脱毛症です。おもな原因は、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンの一種が、毛髪の成長を妨げるためと考えられています。その物質の影響で、毛髪は太く長く成長する前に抜け落ちてしまうのです。 このお薬は飲む育毛薬です。脱毛の原因物質であるジヒドロテストステロンの産生をおさえることで、脱毛を防ぎます。軽度〜中等度の薄毛の人を対象とした1年間の試験で、半数以上の人に改善効果がみられました。50代以上よりも、30代〜40代の若い人のほうが効果が高いようです。 【薬理】 作用面から、「5α-還元酵素II型阻害薬」と呼ばれます。その作用は、男性ホルモンのテストステロンをジヒドロテストステロンに変える5α-還元酵素II型という酵素の働きを阻害し弱めることです。脱毛の主要原因ジヒドロテストステロンが減少しますので、その結果として、発毛の成長期が長くなり、細くて短い毛髪から長くて太い硬毛に変化します。 特徴 世界で唯一の飲み薬の育毛薬です。もともとは前立腺肥大症の治療薬ですが、使用者から「毛が生えた」という報告が相次ぎ、改めて育毛薬として開発されました。60カ国以上での使用実績があります。安全性が高く、副作用も少ないようです。男性型脱毛症にのみ有効です。円形脱毛症や女性の薄毛には適応しません。 【注意する人】 女性には用いません。とくに妊娠中は禁止です。 肝臓の悪い人は慎重に用います。 高齢の人においては、有効性が確立していません。 【使用にあたり】 ふつう、1日1錠(0.2mg)毎日飲みます。必要に応じて増量しますが、増量により必ずしも効果が高くなるというものではありません。 食事の影響を受けませんので、飲み忘れのない時間に決めて飲むとよいでしょう。 錠剤を割ったり砕いたりしないでください。妊娠中の女性が、粉砕・破損した錠剤に直接触れないよう注意する必要があります。 半年から1年くらいで効果が現れてきます。半年以上飲み続けても、まったく効果がないようでしたら、医師とよく相談してみてください。 【妊娠・授乳】 妊娠中またはその可能性のある女性は服用禁止です。おなかの男の赤ちゃんに悪い影響をするおそれがあるためです。この薬が割れたり砕けたりした場合、そのかけらを手で触ったりしないでください。 【検査】 この薬の影響で、血清前立腺特異抗原(PSA)の濃度が、半分くらいに低下します。もし、前立腺がんの検査を受けることがあれば、この薬を飲んでいることを医師に伝えてください。
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